どこかの誰かの秘密基地

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サンタクロース

「まだ発送してねぇのかメロンブックス」とぶつぶつ言い続け早3日、先ほど犬君雀先輩のデビュー作を読み終わった。










ネタバレはしない。というより、私の現状の語彙力でネタバレするのも構わなくなってしまうと、せっかくの作品に泥以下の何かを塗りそうなので意地でもやらない。どうか、全てご自身の感性で読んで味わってほしい。










作品の裏に「作者」を見つけようとしてしまう。以前ここにも書いた(気がする)、私の癖だ。序盤でその悪癖が存分に出てしまって、腹を刺されたかの如く「どこの私ですか」と言いそうになってしまった。私が惚れた男と作者は同級生なので、おおよそ話は筒抜けなんでしょうけど。
とまぁ、そんな話はどうでもいい。












気付かぬうちに伏線が張られ、それらが目の前で全て綺麗に回収され、最終的に残るのは温かさと少しの寂しさ。例えてみようとしたけれど、どうにも上手い言葉が浮かばない。私の中で初めての感覚なんだろう。












自分の比較的近いところに、こんなにも純粋な世界を抱えた人が居る。読後の余韻に浸りながら、少し冷静になった頭の隅が震えだした。
この後やってくる感情がどんなものか分からないし、もしかしたら自分の未熟さで潰れるかもしれない。既にやり場のない嫉妬でどうにかなりそうな友人もいるが、私は幸い(?)自己否定感の方が勝るので、もう少しこの気分を味わっていられる。
これを書いている途中に間違えて公開ボタンを押した辺り、頭がまだ物語の中から帰ってきていないんだろう。後で読み返して「何言ってんだこいつ」と自分で思うのは目に見えている。しかし、今出せる語彙力全てを駆使してこの余韻を表現しようとしているので、拙いのはこの際恥じないことに決めた。
ただ1つ、この先変わらないであろう事がある。














きっと私は、犬君雀のような作家に二度と出会わない。この先も彼の後輩であれるという事実を誇りに思う。