どこかの誰かの秘密基地

このブログはどうせフィクションです

いくじなし

今や病んだときの隠れ家になってしまった学食2階、いつものカウンター席に荷物を置き、1杯80円のココアを目当てに自販機へ向かった。


ココアが出てくるまで窓の外を眺めようと視線を動かすと、「体調が悪いので今日の授業休みます」と言っていたはずの同級生と目が合った。私も同じことをしているので咎める気は更々なかったが、君もこうなってしまったかと思いつつココアを手に取った。


席に戻る途中,サークルの先輩を見かけた。いつもなら「お疲れさまです」とか声をかけるのだが足が向かない。
あれだけの精神的自滅に巻き込んでしまった手前、謝罪の1つや2つしなければいけないのだ。なのに息ができなかった。どうやら身体さえもクズになったらしい。
それでも人間としての尊厳は保とうと「このココアを飲みきったら先輩のところへ行こう」と決めて、湯気が立っている紙コップに口をつけた。半分くらいまで飲み終わった頃、先輩がいた席には別の学生が座っていた。


もう何もかもどん詰まりだ。こんな奴に居場所を求める資格はない。
思い詰めた私を肯定するかのように、3限の終わりを告げるチャイムが室内に響いた。